

ここ数年校庭緑化の取組みが全国的に広がりを見せていますが、実は過去にも校庭緑化に取り組んだ例はありました。
東京都では今から30年以上前に都内の小学校数校の校庭を芝生化しましたが、いずれも施工から2~3年で裸地化が進んでしまいました。
裸地化に至った原因はいくつも考えられますが、その中でも「適当な更新作業が行われていなかったこと」が最も重要な原因でした。

過度の踏圧により裸地化の進んだ芝生
庭園や家庭の庭のように極端に強い踏圧の影響を受けることのない芝生は水を撒き、芝を刈ってさえいればいつまでも美しい芝生を維持することが可能ですが、子供たちの踏圧の影響の多い校庭やグラウンドでは、芝生を使いながらも常にフレッシュで高品質な芝生を維持しなければなりません。
踏圧により芝生は踏み固められ、やがて床土は固結します。
床土が固結すると芝生に対し次のような悪影響を及ぼします。
- 土壌中が酸素不足になり、根が酸素を求めて浅くなる。
- 土壌の透水性が落ち、灌水効率が低下する。
- ターフが薄くなり、擦り切れ耐性・耐踏性が低下する。
- 芝の回復力が低下し、表面が不均一となり芝生の品質が低下する。
- サッチの堆積が多くなり、芝生の品質低下病害などを受けやすくなる。

床土表層に堆積するサッチ
踏圧以外にも芝生に大きなダメージを与える可能性が高いのが、サッチの堆積です。
床土表面に堆積する刈草や枯死した葉茎・根からなる未分解の有機物をサッチといいます。サッチの主成分はセルロース、ヘミセルロース。さらに土中の微生物に難分解性のリグニンを10~40%も含みます。
このサッチが芝生に堆積すると芝生に対し以下の悪影響を及ぼします。
- 土壌中が酸素不足になり、根が酸素を求めて浅くなる。
そのために耐寒性・耐暑性・耐乾性が低下する。
- 床土に日光が届きにくくなり、春先の土中温度上昇が抑えられ、芝草の成長を阻害する。夏季には土中温度の放散を抑制する。
- 葉腐病などの糸状菌による病気にかかりやすくなる。害虫の隠れ家となり、被害を拡大することがある。
- 散布した薬剤や灌水効率を大きく損ねる。
- 根が浅くなるために、ある種の除草剤の効果を受けやすくなる場合がある。

芝生からかき出した大量のサッチ
更新作業とは主にエアレーション作業、バーチカル作業(バーチカルカッティング、サッチ除去)からなり、適宜これらの作業を行うことにより上述の芝生への悪影響を回避し、さらにバーチカルカッティングによる表層に近い部分の根を切ることにより新しい根の発根を促し、使用しながらも芝生を常に新鮮な状態に保つことができます。
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